この記事で分かること

  • 首都圏の中古マンション成約件数と新築供給戸数の、2016年から2025年までの数字
  • 本文の「築25年以内でないと減税の対象にならない」が、いまは変わっていること
  • 2025年の件数の急増を、そのまま読んではいけない理由

2026年9月に、成約件数と新築供給の表を2025年まで延ばし、変わった税の条件を書き足しました。

中古マンションの成約件数の推移を
見ると売買の参考になる

結論から言うと、首都圏の中古マンションは成約件数・価格ともに上昇傾向が続いています。ただし、売出し件数の増減によって「売り手有利」「買い手有利」の局面は入れ替わるので、今が買い時か売り時かは一概には言えません。動向を見ながら判断するのが大切です。

中古マンションの成約件数は
今後も上昇傾向であるという見方が強いです。

いつまでこの流れが続くかわかりませんが、
データを見る限りでは
誰もがそう思うのも無理はありません。

今回は中古マンションの活況について
いろいろ考察していこうと思うので、
売り買いの参考にしてほしいと思います。

・中古マンションが盛況な理由

多くの方が言うように、
中古マンションの取引は活発な状況が
続いていることから、

今後もしばらくはこの状況が続くと
予想されています。

レインズの首都圏のデータによると、
中古マンションの成約件数は
2011年には29000件弱でしたが、

2021年には40000件弱と
すごいペースで拡大しています。

 

僕が推奨していたのが、
ちょうど、2010年頃であり
予想通りの結果になりました。

もちろん増加に伴い価格も上昇傾向で、
平均単価は10年で2倍近くになっています。

これは一昔前、
2012年の新築マンション供給量と
ほぼ同じ戸数になります。

その大きな理由は新築マンションの高騰化です。

不動産経済研究所の調査によると、
2012年には首都圏の新築マンション平均価格は
4540万円ほどでしたが、
2022年には6288万円まで上昇しました。

これは完全に不動産バブルといえる状況です。

ただ、平成初期のバブルと違い、
お金がある層は偏っています。

いわゆる高所得者、
パワーカップルといった層だけが
買っています。

そして、アベノミクス効果で
海外のアジア勢(中国・台湾・香港)
購入してからは、勢いが止まりません。

 

僕のお客様も、日本人からアジア系の方々に
シフトしている状態でもあります。

一般世帯は全体的に所得が上がっていないので、
手が出せないというわけです。

不動産購入で最も影響力が強い
金利の低下状況でさえもその状況なので、
日本はまだまだ全体としては不況なのです。

需要が伸びると価格は上がるものですが、
新築と比べると中古マンションは
お買い得には変わりません。

以前と比べて価格差は縮まっているものの、
それでも3割安以上で買えるのですから
人気が出て当然の状況といえます。

日本は基本的に新築信仰が根強いので、
新しいほど価値があるという感覚があります。

そのため、中古物件はどちらかというと
毛嫌いされてきた傾向でしたが、
ここ数年はその意識も逆転現象が
出てきた感じもします。

その証拠にリノベーションが流行し始め、
2016年以降は中古マンションの成約件数が
新築マンションの販売個数を上回り続けています。

2013年は断然新築マンションが売れており、
56000件以上売れていましたが、
2015年は35000件まで落ちます。

対して中古マンションは
2015年に37000件を突破し、
その後2019年までほぼ横ばい。

2020年はコロナの影響で落ちますが
それでも35000件と大きく落ちてはいません。

新築マンションの場合、
2019年からガクンと減り始め、
2020年には27000件と
中古マンションと比べて
大きな差を感じるようになりました。

※いずれもレインズの首都圏のデータによる

新築人気が根強いのは政府の景気対策も一因で、
中古のほうが減税しにくい状況でした。

耐火構造のマンションでも築25年以内でないと
住宅ローン減税の対象にならないとか、
そうでない場合は耐震基準を満たしているかなど
厳し目のルールだったのです。

ただ、新築マンションが高騰すると
話は変わってきます。

減税の対象になりやすいとしても
高すぎたら中古マンションを買ったほうが
最終的に安く済むので本末転倒です。

最近は建築資材の高騰などの理由で
部屋が狭くなってきているとも言われます。

資材や人件費、輸送費は
世界中で高止まり傾向であり、
2011年と2022年を比較すると
1.3倍も高くなっているのです。

場所も限定的ですので、
中古マンションよりも選択肢の幅が狭い。

以前よりもマンションの供給に適した用地が
減っていることも挙げられます。

昔は工場や倉庫の跡地に
マンションを建てる流れになっていましたが、
いよいよそういう土地も減ってきたのです。

それを反映するかのように、
再開発や建て替えの流れが出てきています。

そんな事情が見え隠れするものですから
今後も中古マンションの成約件数は
伸び続けるでしょう。

ちなみにリクルートの2021年の調査によると、
新築マンションと中古マンションを
同時に検討している人の割合は
54.5%と過去最高を記録したそうです。

・状況は変化し続けるもの

ただし、未来がどうなるかは
具体的には未知数ですから
動向は常に注視する必要はあるでしょう。

特に注目してほしいのは売出し件数の推移です。

中古マンションでもなんでも
人気が出ると価格は上昇します。

バブルと言えるほどの過熱ぶりですから
中古マンションといえど、
高くなりすぎた感もあります。

価格が上昇していると、
売る側は有利になるのですが、
株価と同じくまだ上がるのでは?
という期待感が先行し、
実は売出し件数が少ない時期がありました。

それが2021年の前半くらいです。

前年同月比でみると、
マイナス20%~27%ほどで推移するという
異常とも言えるほど少なさだったのです。

ところが、2021年の7月あたりから
徐々に売出し件数が増えてきて、
2021年12月には-6.4%と
大幅に増えたのです。
(レインズの月例マーケットウォッチより)

これにより、売り手市場から買い手市場に
変化してきたともいえます。

供給量が増えると価格が下がり、
売り手は早く買ってもらいたいとなるので
買い手のほうが有利になるのです。

このように、成約件数から
いろいろなこと見えるわけですが、
状況は刻一刻と変化しています。

中古マンションを売るにしても
買うにしても市場の動向をよくみて
判断するようにしてください。

本文の数字を、2025年まで延ばしました

本文はレインズの首都圏データをもとに2021年ごろまでを書いています。同じ出どころで、その後を足します。首都圏(1都3県)の値です。

年中古マンション成約件数(レインズ)新築マンション供給戸数(不動産経済研究所)
201637,18935,772
201737,32935,898
201837,21737,132
201938,10931,238
202035,82527,228
202139,81233,636
202235,42929,569
202335,98726,873
202437,22223,003
202549,114(下の注)21,962(1973年以降で最少)

出どころ: 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」年報(2016年・2020年・2025年版)、不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向」(2025年のまとめ、2026年1月26日)。本文の「2021年には40,000件弱」は、この表の39,812件と一致します。

2025年の中古成約49,114件は前年比31.9%増ですが、東日本レインズ自身が「2025年1月以降、成約登録適正化を図るためのシステム改修を行ったことにより、成約件数に影響を与えている可能性があります」と注記しています。この1年の急増を、そのまま市場の伸びとして読まないでください。

価格のほうは、東京都区部の成約㎡単価が2020年の81.67万円から2025年の130.75万円へ6割上がり、2026年8月に前年同月比−0.3%と76か月ぶりに下がりました。本文の「売出し件数の推移に注目してほしい」という話は、いまの局面でこそ効いてきます。

「築25年以内」の条件は、なくなりました

本文の「耐火構造のマンションでも築25年以内でないと住宅ローン減税の対象にならない」は、いまの制度では違います。

中古住宅の住宅ローン控除、登録免許税の軽減、不動産取得税の軽減はいずれも、昭和57年1月1日以後に建築されたものか、耐震基準に適合すると証明されたもののどちらかで判定されます。築年数の上限はありません。昭和57年より前の建物でも、耐震の証明が取れれば対象になります。

出どころ: 国税庁 タックスアンサー No.1211-3[令和8年4月1日現在法令等]、租税特別措置法施行令 第42条第1項第2号、地方税法施行令 第37条の18第3項(いずれもe-Gov法令検索で現行条文を確認)。

本文が「中古のほうが減税しにくい状況だった」と書いていた理由の一つが、この築25年の壁でした。それが外れたことで、中古を選ぶ理由がひとつ増えています。2026年以降に入居する中古住宅の住宅ローン控除の上限はこちら → 住宅ローン控除の記事。