この記事で分かること

  • 賃貸の仲介手数料が「半月分」と言われる根拠
  • 売買の仲介手数料の上限(税込)と2024年7月からの新しい枠
  • 囲い込みを防ぐために2025年から始まったレインズの登録義務

2026年9月に、仲介手数料の上限と媒介契約のルールを書き足しました。

不動産業界での二十年以上にわたるキャリアを通じて、
私は多くの変化と挑戦を経験してきました。

この業界では、顧客との信頼関係が何よりも重要であるにもかかわらず、
時としてその信頼を損ねるような行動が横行しているのが現状です。

今回は、そんな不動産業界の一筋の光として現れた「正直不動産」の話を、
私の感じたことや感想を織り交ぜながら、シリーズでお届けしたいと思います。

序章:不動産業界の不都合な真実

不動産業界は、長い間、顧客に対して不完全な情報、時には明確な虚偽の情報を提供して契約を促進してきました。この章では、そうした実態に焦点を当て、具体的な事例を交えながら解説します。

 

第1章:虚偽の契約 – 一般人が直面する現実

多くの消費者は、生涯に数回の大きな取引の一つとして不動産契約に臨みます。しかし、契約時に提供される情報が不完全であることがしばしばあり、後に大きな問題となるケースを紹介します。

 

第2章:「正直不動産」の誕生

主人公・永瀬が偶然の事故から嘘をつけなくなり、業界で孤立無援となりながらも、真実を語り続けることで顧客からの信頼を勝ち取っていく過程を追います。この新しいアプローチが、彼のキャリアだけでなく、業界に対する顧客の見方にどのような変化をもたらしたかを詳しく解説します。

嘘がつけなくなった不動産営業

以前、家を借りに行った際、ある有名な不動産会社で
「他にも良い物件が見つかればキャンセル可能ですので、
今はこれで仮押さえの契約をしましょう」と言われて契約しました。

その後、別の物件に変更したのですが、
「本当にキャンセルできるのか?」と
不安に感じながらサインしたことを覚えています。

そう言いつつキャンセルすること自体、
問題があるように思いましたが、知識がなかったためその時は理解できませんでした。

この「正直不動産」は、不動産業界を描いた珍しいマンガです。

主人公・永瀬は、今まで虚偽の情報で契約を取ってきた営業マンでした。
不動産業界には真実を言うことが少ないとされる
「千に三つ」の言葉があり、多くが嘘で成り立っているそうです。

永瀬も例外ではなく、情報を隠したり、言い回しを変えたりと、
限界ギリギリの方法で契約をしていました。

しかし、ある日、石碑を破壊したことで祟りを受け、
嘘がつけなくなってしまいます。本音を言うたびに顧客や周囲を怒らせてしまい、
業界での立場を考え退職も考えましたが、
真実を伝えることで逆に信頼を得られ、
正直不動産として新たなスタートを切る決心をします。

第3章:法律と現実の間で – 業界のグレーゾーン

この章では、不動産取引における法的枠組みと実際の業務実態のギャップに焦点を当てます。仲介手数料の問題、キャンセルポリシー、そして業界での不正行為の事例を詳しく見ていき、法律改正が業界にどのような影響を与えるかを探ります。

嘘まみれの不動産業界

生活に必要な衣食住の中で、
住宅についての知識は意外と乏しいものです。

家を借りる、買うことは人生でそう多くありません。
多くの人が不動産業者に依存し、結果的に騙されることがあります。

この問題に対処すべく、法律が制定されたものの、
完全には実施されず、グレーな部分が残っています。

仲介手数料も本来は半月分で足りるはずが、
ほとんどの場合一ヶ月分支払わされています。

マンガの中では、
顧客に合わせた仕込みが行われている場面も描かれており、
我々が気づかない間に行われているという恐ろしい現実が描かれています。

終章:メディアによる変革 – ドラマ化が影響する業界の未来

NHKでのドラマ化により、不動産業界は新たな注目を浴びるようになりました。メディアの力がどのように業界のイメージや実態に影響を与え、消費者の権利がどのように保護されるようになったかを探ります。また、ドラマが消費者の不動産会社に対する期待をどのように変えたかも考察します。

ドラマ化で正直不動産が増えるといいな

このマンガはNHKでドラマ化され、好評を博しました。

2024年1月からはSeason2がスタートしています。

医療や刑事ものが多い中で不動産をテーマにしたドラマは珍しく、
ドラマチックな要素を加えるのは難しいかもしれません。

ドラマを通じて不動産業界の内情が明らかになり、
より正直に真摯に対応しないと見向きもされない時代に突入すると
信じてます。

仲介手数料の上限は、法律で決まっています

本文に「仲介手数料も本来は半月分で足りるはずが、ほとんどの場合一ヶ月分支払わされています」とあります。これは賃貸の話です。売買の仲介手数料には、国土交通省の告示で上限が決まっています。上限であって、決まった額ではありません。

売買価格のうちの部分上限(税込)
200万円以下の部分5.5%
200万円超400万円以下の部分4.4%
400万円超の部分3.3%

速算式は「価格×3%+6万円」に消費税を足したものです。なお、800万円以下の物件は、売主・買主それぞれ30万円×1.1(33万円)が上限という枠が新しくできました。

出どころ: 国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(令和6年7月1日施行)。

「囲い込み」は、2025年からレインズで見えるようになりました

本文が書いている「顧客に合わせた仕込み」のうち、売却で問題になってきたのが、他社に物件を紹介しない囲い込みです。2025年1月1日から、専任媒介・専属専任媒介の物件は、レインズへ取引状況を登録する義務ができました。登録する区分は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つです。うその登録は、宅建業法65条1項の指示処分の対象になります。

出どころ: 宅地建物取引業法施行規則 第15条の11、国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」改正(2025年1月1日施行)。

ただし「囲い込み禁止」という条文があるわけではありません。取引状況を正しく登録させることで、間接的に防ぐしくみです。

媒介契約には、期間と報告の決まりがあります

本文の「知識がなかったためその時は理解できませんでした」という話につながる部分です。売却を頼むときの媒介契約には、宅建業法34条の2で次の決まりがあります。

専任媒介専属専任媒介
有効期間の上限3か月3か月
レインズ登録まで7日以内5日以内
売主への報告2週間に1回以上1週間に1回以上

日数は休業日を除いて数えます。3か月を超える契約を結んでも、期間は3か月に短縮されます。レインズに登録したら、それを証明する書面が売主に渡されます。この書面が来ないときは、登録されていない可能性があります。なお、一般媒介にはレインズへの登録義務がありません。

出どころ: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法。

売主・買主を守るための、ほかの上限

本文の「法律が制定されたものの、完全には実施されず、グレーな部分が残っています」に関わる数字です。宅建業者が売主になる取引では、手付は代金の2割までです(39条)。違約金と損害賠償の予定の合計も2割までです(38条)。契約不適合責任について買主が通知できる期間は、引渡しから2年以上と決められています(40条)。

出どころ: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法。

この「契約不適合責任」という言葉自体は、条文には出てきません。2020年4月1日に施行された民法の改正で、それまでの「隠れた瑕疵があること」という書き方をやめ、「契約の内容に適合しない」に改められました。呼び名として使われているだけです。

出どころ: 民法(e-Gov法令検索で現行条文を確認)。

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