30秒でいうと

  • 国土交通省が公表している大田区の中古マンションの成約価格は、2024年1〜3月期から2026年1〜3月期までで2,428件ありました。このうち2,000万円以下は295件(12%)、3,000万円以下は645件(27%)です。半分の線(中央値)は4,000万円超〜5,000万円以下の中にあります。
  • 2,000万円以下の295件は、6割が30平方メートル未満で、間取りは1Rと1Kで6割を占めます。50平方メートル以上は15件で、そのうち13件は1981年以前に建った建物でした。
  • 3,000万円以下で50平方メートル以上の成約は100件あり、1982年以降に建ったものは28件です。住宅ローン控除の面積(原則50平方メートル)と築年(昭和57年=1982年1月1日以後)の線を両方越えるのは、この28件の範囲でした。

調べた範囲と数え方

国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、東京都大田区の中古マンション等の成約価格情報を調べました。これは、レインズ(不動産会社どうしの物件情報の仕組み)に登録された成約の情報を、国土交通省が個別の取引を特定できない形に加工して公表しているものです。

調べた範囲: 2024年1〜3月期から2026年1〜3月期まで、成約価格情報2,428件(2026年10月3日に確認)。同じ画面には国土交通省のアンケートによる取引価格情報も出ますが、成約価格情報と同じ取引が重なって出ることがあると画面に注記があるため、数えていません。価格帯ごとの件数は、画面の「取引総額」の絞り込みで読みました。3,000万円以下の645件は、一覧を1件ずつ読み取って当方で数え直しています。

価格帯件数全体に占める割合(当方の計算)
2,000万円以下295件12%
2,000万円超〜3,000万円以下350件14%
3,000万円超〜4,000万円以下385件16%
4,000万円超〜5,000万円以下411件17%
5,000万円超987件41%
合計2,428件100%

4,000万円以下が42%、5,000万円以下が59%なので、中央値は4,000万円超〜5,000万円以下の中にあります。この記事で見るのは、下から2つの帯です。

出どころ: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索(東京都 大田区/中古マンション等/成約価格情報/2024年第1四半期〜2026年第1四半期、2026年10月3日確認)。割合は当方の計算。

2,000万円以下の295件: ほとんどが一人向けの広さ

価格の中央値は1,600万円、面積の中央値は25平方メートルです。間取りは1Kが110件、1Rが72件で、合わせて295件の62%でした。

面積件数価格の中央値建築年の中央値最寄駅からの徒歩の中央値
30平方メートル未満178件1,400万円1991年6分
30〜45平方メートル102件1,750万円1977年7分
50平方メートル以上15件1,800万円1974年5分
全体295件1,600万円1988年6分

見えてくるのは、同じ2,000万円以下でも「広さ」と「築年」のどちらかを取る形になっていることです。30平方メートル未満の178件は1990年前後の建物が中心で、2010年以降に建った部屋も20件ありますが、面積は20〜30平方メートルだけでした。30平方メートル以上になると、建築年の中央値は1970年代後半まで下がります。50平方メートル以上の15件のうち、1982年以降に建ったものは2件(久が原・2DK・50平方メートル・1982年・1,800万円/上池台・3LDK・85平方メートル・1985年・1,900万円)で、残り13件は1981年以前の建物でした。

所在地(町名)で多いのは大森西21件、大森北16件、蒲田15件、池上14件、矢口11件、下丸子11件。最寄駅では大森24件、蒲田22件、大森町18件、雑色17件、西馬込17件、池上15件、矢口渡15件、平和島14件です。駅からの徒歩は中央値6分で、5分以内が113件ありました。安い帯だから駅から遠い、というわけではありません。

1平方メートルあたりにすると(価格÷面積・当方の計算)、中央値は約51万円です。建築年別では、1981年以前の106件が約47万円、1982〜1999年の104件が約47万円、2000年以降の62件が約76万円でした。2000年以降の建物は、面積が小さいぶん総額が2,000万円以下に収まっています。

出どころ: 同上(2,000万円以下の295件を当方で集計)。建築年は272件、徒歩は264件に記載があり、中央値はその範囲で出しました。

2,000万円超〜3,000万円以下の350件: 50平方メートル以上が4分の1

価格の中央値は2,500万円、面積の中央値は40平方メートルです。間取りは1Kが124件でいちばん多いままですが、1LDKが68件、2DKが39件、2LDKが28件、3DKが17件、3LDKが13件と、2人以上で住む間取りが増えてきます。1LDK以上の間取りは177件で、350件の半分です。50平方メートル以上は85件(24%)でした。

面積件数価格の中央値建築年の中央値最寄駅からの徒歩の中央値
30平方メートル未満98件2,400万円2011年5分
30〜45平方メートル167件2,500万円1980年6分
50平方メートル以上85件2,700万円1979年8分
全体350件2,500万円1984年6分

この帯の30平方メートル未満は、建築年の中央値が2011年です。2,000万円台の予算で2010年代の建物を買うなら、面積は25平方メートル前後になります。逆に50平方メートル以上の85件は、1981年以前が58件、1982年以降が26件(1件は建築年の記載なし)で、広さを取ると築年が古くなります。

所在地で多いのは大森北25件、山王21件、西蒲田21件、蒲田19件、大森西18件、中央15件。最寄駅では大森48件、蒲田33件、馬込22件、池上20件、大鳥居15件です。1平方メートルあたりの中央値は約66万円で、2000年以降の建物(124件)は約92万円、1981年以前(147件)は約56万円でした。

出どころ: 同上(2,000万円超〜3,000万円以下の350件を当方で集計)。建築年は323件、徒歩は309件に記載。

3,000万円以下で50平方メートル以上・1982年以降の28件

家族で住む広さ(50平方メートル以上)を3,000万円以下で、しかも1982年以降に建った建物で探すと、2年3か月で28件でした。全部ではありませんが、どんな部屋がこの条件に入っていたかを示します。

所在地最寄駅・徒歩間取り・面積建築年価格時期
池上池上 4分3DK・50平方メートル1982年2,500万円2025年1〜3月
久が原池上 11分2DK・50平方メートル1982年2,400万円2025年1〜3月
田園調布南沼部 6分3DK・55平方メートル1983年2,400万円2024年10〜12月
上池台西馬込 11分3LDK・85平方メートル1985年2,600万円2024年7〜9月
鵜の木鵜の木 6分2LDK・50平方メートル1985年2,900万円2024年10〜12月
東糀谷大鳥居 5分3DK・55平方メートル1982年2,800万円2024年4〜6月
南六郷雑色 11分3DK・55平方メートル1991年2,800万円2025年4〜6月
中馬込西馬込 8分3DK・50平方メートル1990年2,700万円2025年7〜9月
中央池上 13分2LDK・65平方メートル1994年2,500万円2026年1〜3月
蒲田本町京急蒲田 6分2DK+S・60平方メートル1999年2,500万円2025年1〜3月
中馬込西馬込 11分2DK・50平方メートル2011年2,700万円2025年7〜9月
羽田大鳥居 6分3LDK・70平方メートル2005年3,000万円2025年1〜3月

駅から10分を超える部屋と、京急空港線・多摩川寄りの町が目立ちます。2000年以降の建物は28件のうち2件だけでした。面積の線を40平方メートル以上に下げると、同じ条件(3,000万円以下・1982年以降)は59件に増えます。

出どころ: 同上(3,000万円以下の645件から当方で抜き出し)。所在地は公表どおり町名まで。

安い理由を見分ける5つの点

公表されている成約価格には、安い理由は書かれていません。同じ町・同じ駅で価格が大きく違うときは、次の5つを順に確かめてください。

  1. 建築確認の日付(旧耐震か新耐震か)。新耐震基準は、建築確認が昭和56年(1981年)6月1日以降のものです。公表値の「建築年」は完成した年なので、1981年・1982年に完成した建物はどちらの基準か建築年だけでは分かりません。確認の日は建築計画概要書で分かり、大田区役所本庁舎7階のまちづくり情報閲覧コーナーで見られます(閲覧は無料、写しは1件300円)。2,000万円以下の295件のうち、建築年の記載がある272件の106件(39%)が1981年以前でした。
  2. 面積が税とローンの線を越えているか。住宅ローン控除は原則50平方メートル以上(下の節)。フラット35は、マンションの場合は床面積30平方メートル以上が条件です。20〜25平方メートルの部屋は、自分が住むための住宅ローンや税の軽減の対象から外れることが多く、そのぶん価格が別の物差しで決まっています。
  3. 土地の権利(所有権か借地権か)。敷地が借地のマンションは、土地の持ち分が無いかわりに地代がかかります。定期借地権は存続期間50年以上で、平成4年(1992年)8月1日より前に設定された借地権には旧借地法が適用されます。フラット35も、敷地が借地の場合は別の条件があります。重要事項説明書の敷地に関する権利の欄で確かめてください。
  4. 管理と修繕積立金。国土交通省のガイドラインでは、20階未満・延べ床面積5,000平方メートル未満のマンションの修繕積立金の目安は、1平方メートルあたり月額平均335円(幅235〜430円)です。50平方メートルなら月1万7,000円前後が目安になります(当方の計算)。目安より大きく少ない建物は、将来の値上げや一時金の可能性を、長期修繕計画と積立金の残高で確かめてください。大田区には分譲マンションの耐震診断(限度額300万円)・耐震改修工事(限度額4,000万円)の助成があります。
  5. 用途地域。公表値には都市計画の用途地域も載っています。3,000万円以下の645件では、準工業地域が124件、工業地域が18件ありました。どちらも住宅を建てられますが、工場も建てられる地域です。昼と夜、平日と休日で周りの様子を見ておくと、価格の理由が分かることがあります。

出どころ: 大田区「建築計画概要書等の閲覧・発行」「分譲マンションの耐震化助成」、住宅金融支援機構「フラット35 ご利用条件」(2026年10月3日確認)、借地借家法22条・附則4条、国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)。旧耐震の見分け方は築年数②旧耐震基準の見分け方に。

住宅ローン控除の面積と築年の線

中古マンションを買って住宅ローン控除を受けるには、面積と築年の両方の線を越える必要があります。

項目いまの決まり
控除率・期間年末の借入残高の0.7%。省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は借入限度額2,000万円・10年
床面積原則50平方メートル以上。2026年以降の入居で、その年の合計所得金額が1,000万円以下なら40平方メートル以上
築年昭和57年(1982年)1月1日以後に建築されたもの、または耐震基準に適合すると証明されたもの。かつての「築25年以内」という上限は、いまの制度には無い
所得その年の合計所得金額が2,000万円以下

登録免許税と不動産取得税の中古住宅の軽減も、築年は同じ線(昭和57年1月1日以後の建築、または耐震基準適合の証明)で判定されます。登録免許税の軽減は、登記簿上の床面積50平方メートル以上が条件です。

今回の数字に当てはめると、3,000万円以下で面積50平方メートル以上・1982年以降に建った成約は28件、40平方メートル以上なら59件でした。1981年以前の建物でも、耐震基準に適合する証明が取れれば控除の対象になります。証明が取れるかどうかは建物の耐震診断の有無で変わるので、管理組合に聞いてください。

出どころ: 国税庁 タックスアンサー No.1211-3(中古住宅)[令和8年4月1日現在法令等]、租税特別措置法施行令 第42条、地方税法施行令 第37条の18。控除の全体は住宅ローン控除の記事に。

この数字の読み方

  • 価格は丸めた値、面積は5平方メートル刻み、取引の時期は3か月単位、所在地は町名までで公表されています。1平方メートルあたりの値は、当方が「価格÷面積」で出したもので、実際の面積とはずれます。
  • 645件の中に、所在地・最寄駅・価格・間取り・面積・建築年・時期がすべて同じ組が8組ありました。同じ建物の同じ型の部屋が続けて売れたと見られますが、そのまま数えています。
  • 間取りが「1R」で60平方メートルや65平方メートルといった、登録の癖と見られる値もあります。公表値のまま使いました。
  • 四半期ごとの件数(3,000万円以下)は、2024年が50〜61件、2025年が72〜91件、2026年1〜3月期が88件でした。最新の期は、あとから件数が変わることがあると画面に注記があります。
  • 東京都区部全体の成約の1平方メートルあたりの単価は、2025年に130.75万円でした(東日本不動産流通機構)。数え方が違うので、今回の値と並べて高い・安いは言えません。

出どころ: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」の画面の注記、レインズ・マーケット・インフォメーション「初めてご利用するかたへ」、東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」2025年の年報。

売る人にとっての意味

2,000万円以下と、2,000万円超〜3,000万円以下では、買う人の顔ぶれが違います。2,000万円以下は1Rと1Kが6割、2,000万円超〜3,000万円以下は1LDK以上が半分です。

  • 自分の部屋がどちらの帯に入るかで、見比べる成約が変わります。査定を聞くときは、同じ面積帯・同じ築年帯の成約を根拠にしているかを確かめてください。査定額の意見を述べるときは根拠を明らかにする義務があります(宅地建物取引業法34条の2第2項)。
  • 1981年以前の建物は、建築確認の日付、耐震診断の有無、修繕積立金の残高を先にそろえておくと、買う人の心配に先回りできます。
  • 面積が50平方メートル(または40平方メートル)をわずかに下回る部屋は、買う人が住宅ローン控除を使えない前提で値段を見られます。登記簿の面積を先に確かめてください。

毎月の支払いから予算を考えるときは、大田区の家賃相場と、買った場合の毎月の支払いに金利別の返済額をまとめています。事前審査で止まったときの順番は住宅ローンの事前審査に落ちたらどうする?に。

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