30秒でいうと
- 相続した不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月1日から義務です。取得を知った日から3年以内で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料があります
- 空き家を売ったときの3,000万円の特別控除は、一戸建てが対象です。マンション(区分所有の登記がある建物)は対象外です
- 相続したあとに一度でも人に貸すと、この3,000万円の控除は使えなくなります。「とりあえず貸す」の前に、売る・貸す・住むを決めてください
- 大田区には、空き家の相談窓口と、毎月の空家総合相談会(予約制)があります
まず、期限を並べます
相続した家をどうするかを決める前に、動かせない期限があります。
| 手続き | 期限 | 出どころ |
|---|---|---|
| 相続登記(名義変更) | 相続で取得したことを知った日から3年以内 | 不動産登記法76条の2 |
| 2024年4月1日より前に相続した不動産の相続登記 | 2027年3月31日まで | 法務省 |
| 相続税の申告(必要な場合) | 亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内 | 国税庁 No.4205 |
| 空き家の3,000万円控除を使って売る | 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(かつ2027年12月31日までの売却) | 国税庁 No.3306 |
| 相続税を払った人の取得費加算の特例を使って売る | 相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで | 国税庁 No.3267 |
出どころ: 法務省「相続登記の申請義務化について」、不動産登記法76条の2・164条(e-Gov法令検索で現行条文を確認)、国税庁 タックスアンサー No.3306・No.3267・No.4205[令和8年4月1日現在法令等]。
相続登記を正当な理由なく怠ったときの過料は、10万円以下です(不動産登記法164条1項)。名義が親のままだと、売ることも、貸すための契約を結ぶことも進みません。最初にやるのは名義の確認です。大田区の不動産の登記事項証明書は、東京法務局 城南出張所(大田区鵜の木2-9-15)で取れます。
売る場合|一戸建てとマンションで使える特例が違います
一戸建ての実家なら、3,000万円の特別控除を確かめる
亡くなった方が1人で住んでいた家を相続して売ったとき、条件を満たせば、売って得た利益から最高3,000万円を差し引けます。主な条件は次のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家であること
- 区分所有建物の登記がされている建物でないこと(マンションは対象外)
- 相続の直前に、亡くなった方のほかに住んでいた人がいないこと
- 売却代金が1億円以下であること
- 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 相続の時から売る時まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと
- 2024年1月1日以後の売却では、買主が売った年の翌年2月15日までに耐震改修か取り壊しをした場合も対象
- 相続人が3人以上のときは、1人あたり2,000万円まで
出どころ: 国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」[令和8年4月1日現在法令等]。
大田区の空家対策のページには「被相続人居住用家屋等確認書の交付について」の案内があります。この特例の確定申告に使う書類です。
マンションの実家なら、この控除は使えません
大田区で相続する家は、マンションのことも多いはずです。マンションはこの3,000万円の控除の対象外なので、「空き家を売ると3,000万円まで税金がかからない」という話をそのまま当てはめないでください。相続税を払った人なら、取得費加算の特例(相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの売却)が使えるかを確かめます。
マンションを売るときの相場の見方と手順は、こちらにまとめています → 大田区のマンション売却・不動産売却の前に知っておきたいこと/不動産売却を成功するための自分査定
貸す場合|「とりあえず貸す」で使えなくなる特例があります
上の3,000万円の控除には、「相続の時から売る時まで、貸付けに使っていないこと」という条件があります。相続したあとに一度でも貸すと、あとで売るときにこの控除は使えません。
貸すか売るかで迷ったら、先に「あとで売る可能性があるか」を考えてください。貸すと決める前に、売ったときの手取りと、貸したときの家賃収入と修繕の負担を並べて比べるのが順番です。考え方はこちら → 相続した実家は売るべきか貸すべきか
空き家のまま置いておく場合|固定資産税の軽減が外れることがあります
住宅が建っている土地は、固定資産税が軽くなっています(小規模住宅用地=200平方メートル以下の部分は、課税標準が6分の1)。2023年12月13日に施行された改正空家法で、管理が行き届いていない空き家は「管理不全空家」として指導を受けることがあり、指導に従わず勧告を受けると、この軽減(住宅用地特例)が受けられなくなります。
出どころ: 国土交通省「空家法とは」(空き家対策特設サイト)、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」の案内。
大田区を含む東京23区では、固定資産税は都税です。大田区の土地・家屋の固定資産税の窓口は、大田都税事務所(大田区新蒲田1-18-22)です(東京都主税局)。
大田区の窓口
| 相談したいこと | 窓口 | 中身 |
|---|---|---|
| 空き家の困りごと全般 | 大田区 住宅・空家相談窓口(建築調整課 住宅政策担当) | 建築・法律・不動産・福祉の専門家と連携して相談に応じる |
| 専門家に直接相談 | 大田区 空家総合相談会 | 毎月第2木曜日(1組30分程度)、年1回は日曜にも開催予定。予約制(窓口・電話) |
| 空き家を地域のために使ってもらう | 大田区 空家等地域貢献活用事業 | 公益目的の活用に限る。一般の人が住むための登録はできない |
| 名義・登記 | 東京法務局 城南出張所(大田区鵜の木2-9-15) | 登記事項証明書 |
| 固定資産税 | 大田都税事務所(大田区新蒲田1-18-22) | 23区の固定資産税は都税 |
| 確定申告(売ったとき) | 大森・雪谷・蒲田の各税務署(住所で分かれる) | 池上・大森・馬込は大森税務署、田園調布・久が原・雪谷は雪谷税務署、蒲田・六郷・羽田は蒲田税務署 |
出どころ: 大田区「住宅・空家相談窓口」(2026年9月11日更新)、大田区「空家等地域貢献活用事業」(2025年10月24日更新)、東京都主税局「大田都税事務所」、国税庁 東京国税局「東京都品川区・大田区」の管轄地域一覧。
大田区の制度は、一般の人が住むための「空き家バンク」とは違います。区のページにも「一般世帯が居住することを目的とする場合は登録できません」とあります。空き家を売りたい・貸したいときは、区の窓口で相談したうえで、不動産会社に相談する流れになります。
家族で分けるときは
兄弟姉妹で相続する場合、家をそのまま共有にするか、1人が住んで他の人にお金を払うか、売って分けるかで話が分かれます。それぞれの考え方はこちらです → 実家の分け方/介護をした兄弟の取り分
相談できる場所
池上の事務所で、90分の個別相談会を開いています。相続した家を売るか、貸すか、住むかを、期限と手取りを並べて一緒に整理します。
- 開催日時:2026年10月18日(日)・11月15日(日)・12月20日(日)、各日10:30〜20:00(5枠・各90分)
- 場所:東京都大田区池上3-39-12 常盤ビル304
- 担当:山田泰史(宅地建物取引士・2級FP・不動産業界歴26年)
税金の計算そのもの(相続税・譲渡所得税の申告)は、税理士・税務署の領分です。登記の申請は司法書士に頼むこともできます。
大田区全体の見方はこちら → 大田区で中古マンションを買う前に見る7つの点/大田区で不動産会社を選ぶときに見る点
株式会社レジペアーズ|宅地建物取引業 東京都知事(2)第101742号