モダンで明るい日本のリビングルーム。木目のフローリングと観葉植物、シンプルで落ち着いた家具が配置されている。_日本人の兄妹(40〜50代)が、ローテーブルを挟んで向かい合い、真剣な表情で相続について話し合っている。_妹はノートにメモを取りながら、兄は腕を組みながら聞いている。_テーブルの上には相続資料、介護記録、電卓、ノートパソコン、マグカップが置かれている。_後方には親の遺影と白い花が飾られ、家族の絆と葛藤がにじむ

「兄弟で相続するとき、介護をした人だけが“たくさんもらえる”のか?」寄与分と特別寄与料のリアル

■ 介護した時間を“使った対価”にできる?多い相談の背景

やまださんの相談ではしばしば、次のようなケースが登場します。

「弟は定期的に顔を出してたけど、私は10年近く親の介護を続けたのに、相続は兄弟でちょうど折半。遺言もなくて…

こんなとき、介護した分だけ多く相続できるんでしょうか?」

この問いは非常に多く、“時間をかけた介護は報われるのか”という感情と権利の交差点に立っています。

■ 法律では「介護した人が多く取れる」ものではない(=相続分が増えるわけではない)

民法上、介護そのものが自動的に相続分を増やす規定はありません。
介護は義務であり、自動で「多く相続できる」という制度はないのです

しかし、「寄与分」または新制度の「特別寄与料」を通じて、
以下のように結果が変わる可能性があります。

■ 「寄与分」とは?介護した時間が“財産を守った貢献”と認められる制度

民法904‑2条の「寄与分」は、
相続人が無償で特別な貢献をした場合に、
法定相続分にプラスされる
制度です

✅要件のまとめ:

  1. 特別な貢献:日常的な扶養義務を超えるレベルの介護

  2. 無償性:報酬が極めて低く、実質無償である

  3. 継続性:数年以上、専従的に行ったもの

  4. 財産維持・増加との因果:介護により財産が減らなかった

特に「介護時間だけで報われない」とされるのが、日常的な同居介護。要介護2以上、数年以上、専門的な負担があった場合に初めて寄与分として認められる傾向です

■ 特別寄与料(相続人以外に認められる次世代制度)

2019年からは、相続人以外(たとえば嫁)が
介護に長く関わった場合にも請求できる「特別寄与料」制度
が整備されました

■ 金額は?どれくらいもらえる?

実際の審判や判例では、
「職業を離れて介護した人の日当相当分×日数×裁量割合(約0.7)」で算出する方式が一般的です

例としては:

  • 看護師・ヘルパーの日当×日数×裁量割合(職業介護人費用相当)

  • 約8,000円/日 × 365日 × 3年 × 0.7 = …という計算例も存在

しかし、実際には相続全体の合意形成や証拠(介護日誌・診断書等)により大きく変わります

■ ケーススタディ:兄は仕事、妹は介護──どう判断される?

実例として、ある家庭では以下のような事例がありました

  • 兄は遠方で医者として忙しく、実家にはほとんど関わらず

  • 妹が親の介護に専念し、自営業を辞めて数年にわたり世話

    → 結果として調停なしで、「寄与分を考慮して現金換算」し、
    遺産分割で合意できたケースもあります

■ まとめ:介護した分が報われる可能性はあるが、簡単ではない

  • 法律上、介護=自動的に多く相続できるわけではない

  • ただし「寄与分」や「特別寄与料」を主張することで取り分を増やせる可能性がある

  • そのためには:

    1. 要介護レベルの確認(2以上)

    2. 介護日誌や診断書など証拠の整備

    3. 対象期間や無償性の説明

    4. 話し合い or 調停/審判での取り組みが不可欠

「親の介護を長年続けたけれど、相続が平等すぎて納得できない…」

そんなときは、まずは記録・証拠の整理からお手伝いします。

やまだが中立の立場でサポートし、家族にとって納得できる遺産分割をご提案いたします。

気になっている方は、どうかお気軽にご相談ください。

 

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