この記事で分かること

  • 記事が書かれた当時と、いまの金利がどれだけ違うか
  • 5,000万円を35年で借りたときの毎月の返済額の差
  • 繰り上げ返済と住宅ローン控除の関係、申告先の税務署

2026年9月に、いまの金利と住宅ローン控除を書き足しました。

日当たりの良いリビングルームで、30代~40代の共働き夫婦がソファに座って、住宅ローンの書類を広げながら真剣な表情で話し合っている。 夫は額に手を当てて少し考え込んでいて、妻はメモ帳に数字を書きながら説明している様子。 テーブルには「繰り上げ返済シミュレーション」と書かれた紙、ノートPC、電卓、ペンなどが並ぶ。 窓の外には穏やかな日差しが差し込み、暮らしの温かさと、将来への不安が交差する静かな空間。

繰り上げ返済は全員が得するわけじゃない?住宅ローンの正しい判断軸とは

■「住宅ローン、早く返すのが正解ですよね?」という相談の裏側

ある日、お客様からこんな相談を受けました。

「毎月の返済に余裕が出てきたので、繰り上げ返済をした方がいいですよね?」

このご相談、実はとても多いです。

特に30代〜40代の共働き夫婦で、ローンを無理なく組めている方ほど、**「早く借金を終わらせたい」**という気持ちが強いように感じます。

ですが私は、こう答えました。

「本当に“返すこと”が正解なのか、一緒に考えましょう。将来の選択肢を狭めないためにも。」

■ 繰り上げ返済が向いている人・向いていない人の違いとは?

🔹繰り上げ返済が「向いている人」

  • 老後資金とは別に、数百万円の手元資金がある人

  • 投資や貯金のリターンよりも、精神的安心を優先する人

  • 金利が高め(2%以上)で、借入期間が長期の人

🔸繰り上げ返済が「慎重にすべき人」

  • 今後、子どもの教育費がかかる時期に入る

  • 住宅の修繕・リフォームが視野に入っている

  • いざというときの備えが少ない(預貯金が少なめ)

  • 低金利(1%未満)で借りている人は、逆に「借り得」である可能性も

■ 実例:焦って返して失敗しかけた共働き夫婦のケース

私が過去に担当した、40代の共働き夫婦のお客様。

都内で5,000万円の住宅ローンを組み、毎月の返済は無理なくできているとのことでした。

ある年、ボーナスが想定より多く入り、手元に300万円の余裕ができたため、「これを繰り上げ返済に充てたい」とご相談を受けました。

一見、正しい選択に思えます。

ですが私は、こう聞きました。

「お子さんの中学・高校入学は何年後ですか?住宅の給湯器や外壁の修繕時期は?」

「この300万円、次に来る“大きな支出”に使う予定はありませんか?」

結果、奥様のほうから、

「あ…実は教育費や親の介護の可能性もあると思うと、不安ですね…」

というお声があり、繰り上げ返済ではなく一部を定期預金+投資に回すという選択をされました。

数年後、そのご夫婦から改めてご連絡がありました。

「繰り上げ返済しなくて本当によかった。

修繕や教育で想定外の出費が続いたけれど、備えていたから慌てずに済みました。

“返済”に走らず“準備”を教えてくれたのが、一番ありがたかったです。」

■ プロが伝えたい本音:「ローン返済=正解」ではない時代へ

住宅ローンは、金利が1%未満で借りられる時代。

これは、**“信用を使って資産を築ける数少ないチャンス”**とも言えます。

「借金は悪いこと」という思い込みに縛られすぎると、

逆に将来の“流動性”や“選択肢”を失うこともあるのです。

だからこそ私は、目の前の金額だけでなく、**「人生全体のバランス」**を見ながらアドバイスをするようにしています。

■ まとめ

  • 繰り上げ返済は「精神的な安心感」が得られる一方で、「手元資金の流動性」を失うリスクもある

  • 金利・家族構成・将来の支出など、総合的に判断が必要

  • 不動産のプロとして、資金計画まで含めた提案をするのが、本当に信頼できるアドバイザーの仕事「繰り上げ返済するか迷っている」「本当にこのままでいいのか?」という方へ。

    住宅だけでなく、お金と人生設計を含めた【安心の個別相談】を承っております。

 

お問い合わせ

「金利が1%未満」は、いまから借りる人には違います

本文は「住宅ローンは、金利が1%未満で借りられる時代」と書いています。その後、金利は上がりました。日本銀行は2026年9月18日に政策金利(無担保コールレート翌日物)を1.25%程度へ引き上げ、9月24日から適用しています。同年6月は1.0%、その前は0.75%でした。フラット35は、2026年9月の資金受取分で借入期間21年以上35年以下の最頻金利が年3.460%です。変動金利は金融機関ごとに違うので、ここでは公表値のあるフラット35だけを挙げます。

出どころ: 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)。住宅金融支援機構「最新の金利情報」(2026年9月資金受取分)。

本文の「金利が1%未満で借りられる時代」は、これから借りる人にはいまは違います。すでに借りている人の金利は、その契約の内容によります。

5,000万円を35年で借りると、毎月いくら違うか

本文の実例は、都内で5,000万円のローンを組んだご夫婦でした。同じ5,000万円を元利均等・35年で借りたときの毎月の返済額を並べます。

金利毎月の返済額
1.08%約143,000円
3.46%約205,500円

出どころ: 住宅金融支援機構「最新の金利情報」(2026年9月資金受取分)。毎月返済額は元利均等・35年での当方の計算です。

本文は、繰り上げ返済が向いている人を「金利が高め(2%以上)で、借入期間が長期の人」、慎重にすべき人を「低金利(1%未満)で借りている人」と分けていました。いまのフラット35の金利は、この分け方でいえば前者の側に入ります。自分がどちらに近いかは、借りたときの金利で決まります。

繰り上げ返済と、住宅ローン控除

住宅ローン控除は、年末のローン残高に0.7%をかけて計算します。繰り上げ返済をすると、その年の年末残高は下がります。返す金額と時期を決めるときは、この点も一緒に見ておきます。令和8年度税制改正で、適用期限は令和12年(2030年)12月31日の入居まで延びました。所得税から引ききれない分は住民税から引かれ、住民税からの控除上限は97,500円です。

出どころ: 国税庁 タックスアンサー No.1211-1(新築)・No.1211-3(中古)[令和8年4月1日現在法令等]、財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)、国土交通省「住宅ローン減税」(2026年6月更新)。

控除の中身の移り変わりはこちら → 住宅ローン控除の話。借りて買うことの意味はこちら → なぜ家を買うのか。

大田区で申告する先の税務署

住宅ローン控除の申告先は税務署です。大田区は3つに分かれています。大森税務署(大田区中央7丁目4番18号)は池上、大森北・中・西・東・南、山王、中央、馬込、平和島ほか。雪谷税務署(大田区雪谷大塚町4番12号)は田園調布、久が原、雪谷、上池台、千鳥、鵜の木、北千束、南千束ほか。蒲田税務署(大田区蒲田本町2丁目1番22号)は蒲田、西蒲田、南蒲田、新蒲田、六郷、羽田、糀谷、矢口、下丸子、多摩川ほかです。

出どころ: 国税庁 東京国税局「東京都品川区・大田区」の管轄地域一覧。