日当たりの良いリビングルームで、30代~40代の共働き夫婦がソファに座って、住宅ローンの書類を広げながら真剣な表情で話し合っている。 夫は額に手を当てて少し考え込んでいて、妻はメモ帳に数字を書きながら説明している様子。 テーブルには「繰り上げ返済シミュレーション」と書かれた紙、ノートPC、電卓、ペンなどが並ぶ。 窓の外には穏やかな日差しが差し込み、暮らしの温かさと、将来への不安が交差する静かな空間。

繰り上げ返済は全員が得するわけじゃない?住宅ローンの正しい判断軸とは

■「住宅ローン、早く返すのが正解ですよね?」という相談の裏側

ある日、お客様からこんな相談を受けました。

「毎月の返済に余裕が出てきたので、繰り上げ返済をした方がいいですよね?」

このご相談、実はとても多いです。

特に30代〜40代の共働き夫婦で、ローンを無理なく組めている方ほど、**「早く借金を終わらせたい」**という気持ちが強いように感じます。

ですが私は、こう答えました。

「本当に“返すこと”が正解なのか、一緒に考えましょう。将来の選択肢を狭めないためにも。」

■ 繰り上げ返済が向いている人・向いていない人の違いとは?

🔹繰り上げ返済が「向いている人」

  • 老後資金とは別に、数百万円の手元資金がある人

  • 投資や貯金のリターンよりも、精神的安心を優先する人

  • 金利が高め(2%以上)で、借入期間が長期の人

🔸繰り上げ返済が「慎重にすべき人」

  • 今後、子どもの教育費がかかる時期に入る

  • 住宅の修繕・リフォームが視野に入っている

  • いざというときの備えが少ない(預貯金が少なめ)

  • 低金利(1%未満)で借りている人は、逆に「借り得」である可能性も

■ 実例:焦って返して失敗しかけた共働き夫婦のケース

私が過去に担当した、40代の共働き夫婦のお客様。

都内で5,000万円の住宅ローンを組み、毎月の返済は無理なくできているとのことでした。

ある年、ボーナスが想定より多く入り、手元に300万円の余裕ができたため、「これを繰り上げ返済に充てたい」とご相談を受けました。

一見、正しい選択に思えます。

ですが私は、こう聞きました。

「お子さんの中学・高校入学は何年後ですか?住宅の給湯器や外壁の修繕時期は?」

「この300万円、次に来る“大きな支出”に使う予定はありませんか?」

結果、奥様のほうから、

「あ…実は教育費や親の介護の可能性もあると思うと、不安ですね…」

というお声があり、繰り上げ返済ではなく一部を定期預金+投資に回すという選択をされました。

数年後、そのご夫婦から改めてご連絡がありました。

「繰り上げ返済しなくて本当によかった。

修繕や教育で想定外の出費が続いたけれど、備えていたから慌てずに済みました。

“返済”に走らず“準備”を教えてくれたのが、一番ありがたかったです。」

■ プロが伝えたい本音:「ローン返済=正解」ではない時代へ

住宅ローンは、金利が1%未満で借りられる時代。

これは、**“信用を使って資産を築ける数少ないチャンス”**とも言えます。

「借金は悪いこと」という思い込みに縛られすぎると、

逆に将来の“流動性”や“選択肢”を失うこともあるのです。

だからこそ私は、目の前の金額だけでなく、**「人生全体のバランス」**を見ながらアドバイスをするようにしています。

■ まとめ

  • 繰り上げ返済は「精神的な安心感」が得られる一方で、「手元資金の流動性」を失うリスクもある

  • 金利・家族構成・将来の支出など、総合的に判断が必要

  • 不動産のプロとして、資金計画まで含めた提案をするのが、本当に信頼できるアドバイザーの仕事「繰り上げ返済するか迷っている」「本当にこのままでいいのか?」という方へ。

    住宅だけでなく、お金と人生設計を含めた【安心の個別相談】を承っております。

 

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