この記事で分かること

  • 越境の約束を契約書に書く意味が、いまの民法ではどう整理されるか
  • 売主が不動産業者のときの、責任を知らせる期間の決まり
  • 大田区で建物の記録や図面を調べられる窓口

2026年9月に、契約の決まりと大田区の調べ先を書き足しました。

都会の住宅街にある一軒家の裏庭。隣家の大きな木の枝が境界フェンスを越えて、購入者の敷地に覆いかぶさっている。木の葉が雨どいに詰まっている様子や、外壁に苔がうっすらと生えている様子が見える。秋口で落ち葉が地面に多く積もっている。空は曇天。

中古住宅購入前に確認すべき「境界と植栽」のリアルなトラブル事例

■ こんなはずじゃなかった…“家の裏から伸びる木”がもたらしたトラブル

中古戸建を購入されたあるお客様。

外観も良く、周辺環境も静か。建物の状態もよく、内覧ではとても気に入られて即決に近いご判断でした。

ですが、住み始めてしばらくすると、裏手の家から伸びている植栽が、自分の敷地内にまで越境していることに気づかれました。

最初は「まあ、仕方ないか」と思われたそうですが、次第にこういった問題が浮かび上がってきました:

  • 雨どいに葉が詰まり、排水が逆流

  • 外壁が日陰になり、一部に苔が発生

  • 落ち葉が常に散乱し、掃除の負担が増大

  • 木の根が基礎に影響する懸念も

さらに問題なのは、「隣家の方が話を聞いてくれない」ことでした。

80歳近い高齢のご夫婦で、こちらが何度もお願いしても、

「あんたの方が後から越してきたんでしょ。こっちが迷惑してるくらいだよ!」

と、逆に怒られてしまうような状況だったのです。

■ 購入前に見えない“盲点”──境界と植栽のチェックは超重要

実はこうした「越境植栽のトラブル」、中古住宅では**“意外と多い”**にもかかわらず、

内覧では気づきにくく、書類にも載っていないため、後から発覚するリスクが高いのです。

私自身も、こうした事例を数十件以上見てきました。

購入前には「陽当たり」「間取り」「築年数」は重視されますが、

**“隣家との関係性”や“植栽の越境”**といった「人が関わるリスク」こそ、
長く住む上では大きな課題になります。

■ プロの目線でできる対策

以下のような確認・対策が、トラブル回避には重要です。

🔸1. 越境の現地確認(見るだけでなく写真撮影)

植栽・カーポート・エアコン室外機など、越境の有無を目視と測量図で照合。

🔸2. 境界プレート・確定測量の有無を確認

境界杭が確認できるか、法務局で図面と照合できるかを確認。

🔸3. 売主との交渉で「越境物撤去」の約束を契約書に明記

購入前にリスクがあれば、契約書で明文化しておくことが大切。

🔸4. 管理できない場合は“外構でバッファーを取る”工夫

境界にフェンスや緑化バリアを設置するだけでもストレスは減ります。

■ プロとしての信念:「不動産を売る」ではなく「人生を守る」提案を

不動産は「買ったら終わり」ではありません。

その先にある生活に、不安やストレスを持ち込まないために──

私は、物件の良し悪しだけでなく、“人との関係性”や“時間が経って現れるリスク”まで想像して提案するようにしています。

このお客様には、その後も何度かご相談を受けましたが、

「最初に“注意しておいた方がいいですよ”って言われたこと、今になって本当に実感してます…」

という言葉をいただいたとき、売るだけじゃない、不動産の仕事の本質を改めて感じました。

質問があれば、こちらから受付してます。
お問い合わせからであれば、無料で回答しますので
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契約書に書く、という対策の意味

本文の3つめは「売主との交渉で『越境物撤去』の約束を契約書に明記する」でした。これは、いまの民法の考え方とそろっています。2020年4月1日に施行された民法の改正で、「隠れた瑕疵があること」という書き方をやめ、「契約の内容に適合しない」に改められました。つまり、契約書に何と書いてあるかが出発点になります。枝や根が越えていることを見つけたのに、契約書にも重要事項説明書にも何も書かなければ、それは「契約の内容」に入りません。見たことを文章にして残す。これが本文の言う対策の中身です。

出どころ: 民法(e-Gov法令検索で現行条文を確認)。

よく使われる「契約不適合責任」という言い方は通称で、条文の言葉ではありません。売主が宅地建物取引業者の場合は、この責任を知らせる期間を引渡しから2年以上にしなければならない決まりがあります(宅地建物取引業法40条)。売主が個人の中古住宅では、期間を契約で短く決めることもあります。自分が買う物件はどちらなのか、契約書のその条文を引渡しの前に読んでおいてください。

出どころ: e-Gov法令検索 宅地建物取引業法。

大田区で、建物の記録を調べる窓口

本文の2つめは「境界プレート・確定測量の有無を確認」「法務局で図面と照合」でした。登記の図面は東京法務局 城南出張所(大田区鵜の木)で取れます。東急多摩川線の鵜の木駅から歩いて行けます。

それとは別に、大田区の建物には建築計画概要書を見られる窓口があります。大田区役所本庁舎7階の「まちづくり情報閲覧コーナー」(大田区蒲田5-13-14)、担当は建築審査課 管理調査担当です。閲覧に費用はかからず、写しの発行は1件300円です。対象は、昭和46年度以降に建築確認があった区内の建築物のうち、保管されているものです。郵送では受け付けません。地域庁舎や出張所では扱いません。閲覧中の撮影もできません。東京都が所管した大規模な建築物は、東京都庁第二本庁舎3階の都市整備局市街地建築部建築指導課が窓口です。

出どころ: 大田区「建築計画概要書等の閲覧・発行」。

内覧の日に見えるのは、そのときの姿だけです。図面と記録は、内覧とは別の日に、別の場所で確かめるものだと考えておくと動きやすくなります。

大田区で中古を探す人の入口

池上・蒲田・大森・西馬込・田園調布は、同じ大田区でも土地の形や隣との距離が違います。地区ごとの話はこちらにまとめています。池上/蒲田/大森/西馬込/田園調布。買うこと自体をもう一度考えたいときは なぜ家を買うのか もあわせてどうぞ。