中古マンションの心理的瑕疵物件(事故・事件)

中古マンション購入
心理的瑕疵物件(事故・事件)

平成29年10月に神奈川県座間市で
大変な事件・事故が
発覚してしまいました。

今回は、アパートではありましたが、
今後の中古マンション購入にあたっての、
事件・事故があった場合どうなるの?
をお話ししていきます。
中古マンションではない話も含みますが
併せて参考して頂ければ幸いです。

今回の事件に関わったご家族・
ご親族並びに関係者の皆様、
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
また、二度とこのような事件が
ないことを強く願っております。

では、今回のような事件や自殺などが
起きてしまったお部屋の場合、
何年経過したら、告知しなくても
いいと思われますか。

3年?7年?いや10年?
答えは何年経過したから、
言わなくてもいいという
ルールはないようです。

説明義務としては、
ではどのような内容や解釈に
なるかと言いますと。

過去の売買・賃貸借・競売に関する

裁判例と通して、基準を読み取る
となっています。

簡単に言いますと、
裁判例の積み重ねから、判定される
という事です。
難しい言葉で言いますと
心理瑕疵(心理的な嫌悪感)
の説明義務の判断

判例上、表れる問題の形ですが
(売買)
売主の責任、瑕疵担保責任、
又は、説明義務違反

※瑕疵担保責任とは、
隠れた欠陥の事を言います。

水道管からの水漏れや雨漏り
などが瑕疵のメインですが、
心理的な瑕疵も瑕疵担保責任に
該当するという事です。

次に、説明義務の対象となるかの検討
2つポイントがあります。

①住み心地のよさ
通常有する性質
心理的な嫌悪感を感じさせない事。
これを備えていなければ、瑕疵であり、
説明を要する。

※住んでいて、なんか嫌だなと
感じてしまう事です。
人によって感覚は違いますが
感じてしまうだろうと思われる事は
瑕疵(欠点や欠陥)にあたる
ので説明をしましょう
という事です。

②通常一般人からみること

通常一般人において、居住の用に
適さないと感じることに
合理性があること

※色々な人から見たときに
それは、住む上でちょっと
違うんじゃないのって
一般的に理に(道理)
にかなっていれば、
説明をしましょうと
いう事です。

判例に基づき裁判官は
判断することになっています。

判例 Ⅰ
昭和37年 6月21日(大阪高判)

座敷蔵(母屋と廊下でつながれた別棟)で、
7年前に居住者が自殺、
建物は、約1年前に取り壊されている。

判決結果
瑕疵担保の責任 無し
①住み心地のよさ
②通常一般人からみること

建物が壊されていて、
なおかつ別棟ということだったので

①も②にも該当しなかったという
事です。

判例 Ⅱ
平成元年 9月7日(横浜地判)

マンションのベランダで、
6年3か月前に居住者が自殺。

判決結果
瑕疵担保責任 有り
①住み心地のよさ
②通常一般人からみること

年数が経過していたとはいえ、
継続して建物利用(生活)する
ので、該当すると判断でした。

判例 Ⅲ
平成18年12月19日(大阪高判)

土地上にかつて存在した建物内、
8年半前に殺人。

判決結果
瑕疵担保責任 有

①住み心地のよさ
②通常一般人からみること

すでに建物がなかったのですが
建物にまつわる嫌悪が
歴史的背景にも影響があると
判断でした。

判例 Ⅳ
平成22年6月29日(最判)

建物2階の各居室から、葬儀場に
告別式の参列者が見える様子
棺が葬儀場建物に搬入される様子
が見えることに強いストレス

判決結果
瑕疵担保責任 無

住んでいる人の主観的な不快感に
とどまるというべきであって、
葬儀場の営業が建物住人の平穏な
日常生活を送るという利益を
侵害はしてないという事でした。

この内容は、最高裁まで判決した
稀なケースでした。

上記の判例では、
参考になるケースと言われております。

では、建物内で事件・事故があり
その後、建物が解体(取り壊された)
場合のケースを見ていきましょう。

まずは否定されたケースです。
(認められなかった。)

①新築住宅の売買
取り壊された建物内は
2年前に自殺した

②土地の売買
取り壊されたアパートの1室で
8年7か月前に焼身自殺

③土地の売買
取り壊されたアパートで
4年前に殺人事件

肯定されたケースです。
(認められた。)

①中古住宅の売買
建物内で10か月前に売主の夫
(土地売主の父)が自殺
買主(購入者)は、引渡しを受けた後
建物を取壊し、土地売却
さらに瑕疵担保責任免責があった
(責任を負わないよという事)
損害額893万円

②土地の売買
建物内で8年7か月前に殺人事件
建物は、取壊し済み
損害額 売買代金の5%

③土地の売買
建物内で4年前に火災にて死亡
建物は取壊し済み
買主は建売として、土地分譲
損害額200万円

④中古マンションの売買
平成13年12月 所有者が賃貸
賃借人が風俗営業

管理組合より訴訟、和解
平成20年12月に退出
その後に、売買契約をしました。

損害額100万円

④は、人が死亡でもなく、事件性も
なかったですが、
認められた稀なケースです。

マンションの管理組合としても
まさかという話しだと思いますが
確認が必要になりますね。

上記の判例を見ても
年数はあまり関係ないようです。
その時に起こった事件性などで
配慮されていると思います。

また、事件性がなくても
認めらるケースもあるので
上記の判例が指標になります。

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