この記事で分かること

  • 引渡し猶予は、売主の住み替えの段取りに合わせて鍵の受け渡しを後ろにずらす取り決めです
  • 売主が新しい借入をできるかどうかが鍵になります。いまの金利の水準を数字で並べます
  • 引渡しの前に物件が壊れたときの決まりと、大田区で登記を確かめる窓口をまとめます

2026年9月に、引渡し猶予に関わる金利と登記の窓口を書き足しました。

中古マンション購入をする際に、
引渡し猶予とはどういうことですか

結論から言うと、引渡し猶予とは、
代金を受け取った売主が住み替え先への
引っ越しを終えるまで、
鍵の受け渡し(引渡し)を数日〜1週間程度
後ろにずらす取り決めのことです。
条件つきで、売主の新規借入れの可否が
関わることもあります。

個人の売主さんの場合に
引渡し猶予することが多いのですが、
中古マンションを購入する時に、
最終残代金を支払う日があります。
 
例)7月31日 残代金を支払う
その残代金をもって、
売主の借入金額を相殺する。
売主は、
次に購入する住宅を同時期に借入をする。

ケースバイケースですが、
売主が既存の借入金が
ある状態で新規の借入金ができる場合と
年収によって、
それ以上借入をする余力がなければ、
できない場合があります。
銀行融資のイラストに新規の借入ができるぞー。
お住みかえなどのケースは、
既存借入金を消す➡新規借入をする
➡新規住宅に引っ越しする➡引っ越し完了
➡購入した人に鍵を渡す

という流れになるため、
引っ越しする間の
約1週間を引渡し猶予とします。

お金を全額支払ってから、
猶予があるのは
心配になるかと思いますが
契約条項で色々と条件を付けているので、
購入した人に不利にならないように
なっております。

分からない事は、
不動産屋さんにお気軽に相談してください。

売主が新しい借入をできるかどうかが鍵です

本文は「売主が既存の借入金がある状態で新規の借入金ができる場合と、年収によってそれ以上借入をする余力がなければ、できない場合があります」と書いています。この「余力」は、金利の水準で変わります。記事が書かれた当時と、いまの数字を並べます。

日本銀行は2026年9月18日に政策金利(無担保コールレート翌日物)を1.25%程度へ引き上げ、9月24日から適用しました。同年6月に1.0%へ、その前は0.75%でした。フラット35は、2026年9月の資金受取分で、借入期間21年以上35年以下の最頻金利が年3.460%です。変動金利は金融機関ごとに違うので、公表値のあるフラット35だけを挙げます。

出どころ: 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)。住宅金融支援機構「最新の金利情報」(2026年9月資金受取分)。

金利が上がると、同じ毎月の返済額で借りられる金額は小さくなります。毎月15万円の返済で35年・元利均等・3.46%なら、借入は約3,600万円です(当方の計算)。5,000万円を35年・元利均等で借りた場合の毎月返済額は、1.08%なら約143,000円、3.46%なら約205,500円です(当方の計算)。売主が住み替え先の借入をどこまで組めるかは、この差で変わります。引渡し猶予の段取りが成り立つかどうかも、ここに関わります。

お金を払ってから鍵をもらうまでの決まり

本文は「お金を全額支払ってから、猶予があるのは心配になるかと思いますが、契約条項で色々と条件を付けているので、購入した人に不利にならないようになっております」と書いています。この土台になる法律の言い方が、記事が書かれたあとに変わりました。

本文の「瑕疵」という考え方は、いまの民法では違います。2020年4月1日施行の民法改正で「隠れた瑕疵があること」という書き方をやめ、「契約の内容に適合しない」に改められました。よく使われる「契約不適合責任」は通称で、条文の言葉ではありません。

引渡しの前に物件が壊れたときの決まりもあります。引渡しの前に、当事者双方の責めに帰することができない事由で物が滅失したら、買主は代金の支払いを拒めます(民法536条1項)。引渡しの後は拒めません(567条1項)。旧534条・535条は削除されました。引渡し猶予は「代金を払ったあと、引渡しまでの間がある」取り決めなので、この境目がどこになるかを契約書で確かめる意味があります。

宅地建物取引業法では、契約不適合責任を通知できる期間は引渡しから2年以上と決まっています(40条)。手付は代金の2割までです(39条)。違約金と損害賠償の予定の合計も2割までです(38条)。

出どころ: 民法(e-Gov法令検索で現行条文を確認)。e-Gov法令検索 宅地建物取引業法。

大田区で登記と建物の記録を確かめる場所

本文は「既存借入金を消す」という流れを書いています。売主の借入が本当に消えたかどうかは、登記で分かります。大田区の登記事項証明書は、東京法務局 城南出張所(大田区鵜の木2-9-15)で取れます。東急多摩川線 鵜の木駅から徒歩3分です。

建物そのものの記録も確かめられます。建築計画概要書は、大田区役所本庁舎7階の「まちづくり情報閲覧コーナー」(大田区蒲田5-13-14)で見られます。担当は建築審査課 管理調査担当です。閲覧は無料で、写しの発行は1件300円です。対象は昭和46年度以降に建築確認があった区内の建築物のうち、保管されているものです。郵送はできません。地域庁舎や出張所では扱いません。閲覧中の撮影もできません。

出どころ: 大田区「建築計画概要書等の閲覧・発行」。

大田区で買う人・売る人向けの入口はこちらです → 大田区の中古マンション。駅ごとのページもあります → 池上、蒲田、大森、西馬込、田園調布。