この記事で分かること
- 住宅ローン控除で、年収400万円の人が1年にいくら戻るか(2026年の税制)
- 中古マンションの種類ごとに、10年・13年で戻る額の目安
- 夫婦で分けて借りると、どれだけ増えるか
2026年9月に、2026年の税制で本文を書き直しました(計算は2026年9月の金利・税制)。
30秒でいうと
年収400万円の会社員が、中古マンションを2,500万円のローンで買って2026年に住み始めると、住宅ローン控除で戻るのは1年に約11.2万円(単身の場合)です。家の種類で決まる枠は年14万円ありますが、2026年に所得税の基礎控除が大きく上がって所得税そのものが減ったため、枠を使い切れません。2028年からは枠いっぱいの14万円を引ける計算で、10年の合計は約134万円です。税金が安くなった分が先に効いているので、損をしたわけではありません。
住宅ローン控除のしくみ
住宅ローン控除は、ローンを組んで家を買った人の税金を減らす制度です。流れは3つだけです。
- 枠: その年の年末のローン残高(限度額まで)× 0.7% が、その年に引ける枠です。
- 所得税から引く: まず、その年に払った所得税から引きます。
- 引ききれない分は住民税から: 残りは翌年の住民税から引きます。ただし住民税で引けるのは、所得税の課税される所得の5%(最高97,500円)までです。
つまり、枠がいくら大きくても、自分が払っている税金より多くは戻りません。「いくら戻るか」は、枠と自分の税金の小さいほうで決まります。この記事では、その「自分の税金」を2026年の税制で計算しています。
2026年以降に住み始める人の枠
令和8年度の税制改正で、住宅ローン控除は2030年(令和12年)12月31日の入居まで延びました。控除率は0.7%です。表の金額は借入限度額(年末残高のうち、枠の計算に使える上限)です。
| 住宅の種類 | 新築 | 中古(買取再販でないもの) |
|---|---|---|
| 認定住宅 | 4,500万円・13年 | 3,500万円・13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円・13年 | 3,500万円・13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円・13年 | 2,000万円・13年 |
| その他の住宅 | 0円(2023年までに建築確認を受けたものは2,000万円・10年) | 2,000万円・10年 |
1年の枠にすると、中古の「その他の住宅」「省エネ基準適合住宅」は最大で年14万円、認定住宅・ZEH水準は最大で年24.5万円です。19歳未満の扶養親族がいる人、または夫婦のどちらかが40歳未満の人は、限度額の上乗せがあります。
ほかの主な条件は次のとおりです。
- その年の合計所得金額が2,000万円以下
- 床面積は原則50平方メートル以上(2026年以降の入居で、合計所得金額が1,000万円以下なら40平方メートル以上)
- 中古は、昭和57年1月1日以後に建てられたもの、または耐震基準に適合すると証明されたもの(かつての「築25年以内」という条件はありません)
出どころ: 国税庁 タックスアンサー No.1211-1(新築)・No.1211-3(中古)[令和8年4月1日現在法令等]、財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)、国土交通省「住宅ローン減税」(2026年6月更新)。
年収400万円の人が、1年に引ける上限
年収400万円の会社員で計算します。給与所得控除は124万円(400万円×20%+44万円)、給与所得は276万円です。所得税の基礎控除は2026年分・2027年分は104万円、2028年分からは62万円です。社会保険料は年収の15%、生命保険料控除などはなしとしました。
「引ける上限」は、所得税の全額と、住民税から引ける上限の合計です。家の種類で決まる枠がこれより小さければ枠いっぱいまで、大きければこの上限までしか戻りません。
| 世帯 | 引ける上限(2026・2027年) | 引ける上限(2028年から) |
|---|---|---|
| 単身 | 約11.2万円 | 約15.4万円 |
| 配偶者 | 約7.4万円 | 約11.6万円 |
| 配偶者+16〜18歳の子1人 | 約3.6万円 | 約7.8万円 |
| 配偶者+19〜22歳の子1人 | 約1.1万円 | 約5.3万円 |
| 配偶者+16〜18歳の子2人 | 0円 | 約4.0万円 |
| 配偶者+19〜22歳の子2人 | 0円 | 0円 |
「配偶者」は配偶者控除の対象(配偶者の給与が136万円以下)の場合です。15歳以下の子は扶養控除の対象ではないので、「配偶者」の行と同じになります。16〜18歳の子は一般の扶養控除38万円、19〜22歳の子は特定扶養控除63万円で計算しています。
出どころ: 国税庁 タックスアンサー No.1410(給与所得控除)・No.1199(基礎控除)・No.2260(所得税の税率)・No.1191(配偶者控除)・No.1180(扶養控除)[令和8年4月1日現在法令等]。基礎控除の令和8年分の規定は、令和8年12月1日に施行されます(国税庁の注記)。計算は当方。
年収400万円の人は所得税率が5%なので、引ける上限は「所得税のほぼ2倍」になります。2026年・2027年は、単身でも中古「その他の住宅」の枠(年14万円)に届きません。配偶者や16歳以上の子がいる世帯は、所得税がほとんどかからないので、戻る額はさらに小さくなります。
中古マンションで2,500万円借りたら、合計でいくら戻るか
2,500万円・35年・金利3.46%(フラット35の2026年9月の最頻金利)で、2026年に住み始めた場合です(毎月の返済は約102,700円)。10年たっても残高は約2,061万円で、2,000万円の限度額を下回らないので、「その他」「省エネ」の枠は毎年14万円です。収入も家族も変わらず、いまの法律のままという前提の目安です。
| 世帯(年収400万円) | 中古「その他」 2,000万円・10年 | 中古「省エネ」 2,000万円・13年 | 中古「認定・ZEH」 3,500万円・13年 |
|---|---|---|---|
| 単身 | 約134万円 | 約175万円 | 約185万円 |
| 配偶者 | 約108万円 | 約142万円 | 約142万円 |
| 配偶者+16〜18歳の子1人 | 約70万円 | 約93万円 | 約93万円 |
| 配偶者+19〜22歳の子1人 | 約45万円 | 約61万円 | 約61万円 |
出どころ: 住宅金融支援機構「最新の金利情報」(2026年9月資金受取分、借入期間21年以上35年以下の最頻金利 3.460%)、国税庁 タックスアンサー No.1211-3。計算は当方(元利均等)。
認定住宅・ZEH水準なら、1年目の枠は約17万円(年末残高 約2,463万円×0.7%)ありますが、年収400万円では自分の税金が先に上限になるので、「省エネ」とほとんど変わりません。控除の違いで家を選ぶ前に、自分の所得税がいくらかを先に見てください。違いが出るのは期間で、13年ある「省エネ」「認定・ZEH」は、「その他」の10年より3年分多く戻ります。
夫婦で分けて借りると
住宅ローン控除の枠は、一人ひとりにあります。共働きで二人とも所得税を払っているなら、分けて借りると戻る額が増えることがあります。たとえば2,500万円を1,250万円ずつ借りると、一人の枠は最初の年で約8.6万円です(3.46%・35年、当方の計算)。
| 借り方 | 10年で戻る額の目安 |
|---|---|
| 年収400万円の人が一人で2,500万円 | 1年目 約11.2万円(2026・2027年はこれが上限) |
| 年収400万円どうしの夫婦が1,250万円ずつ | 1年目 約8.6万円+約8.6万円=約17万円 |
二人とも年収400万円・扶養なしなら、それぞれの上限(約11.2万円)の内側に収まるので、二人とも枠いっぱいに引けます。ただし、収入の少ない側(たとえば年収300万円)は2026・2027年に年約5.3万円しか引けないので、枠が余ることがあります。
分けて借りるときは、登記の持ち分と借りる割合をそろえるのが前提です。持ち分を超えて借りた部分は、控除の計算に入りません。二人それぞれがローンの契約者になるので、団体信用生命保険や手数料も二人分になります。金融機関で、一人の場合と二人の場合の両方の見積もりを取ってから決めてください。
2022年から2025年に住み始めた人は、当時の枠のままです
住宅ローン控除の枠は、住み始めた年で決まり、あとから変わりません。2022年から2025年に住み始めた人は、当時の表で計算します。
| 住宅の種類 | 新築 2022・2023年入居 | 新築 2024・2025年入居 |
|---|---|---|
| 認定住宅 | 5,000万円・13年 | 4,500万円・13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円・13年 | 3,500万円・13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 4,000万円・13年 | 3,000万円・13年 |
| その他の住宅 | 3,000万円・13年 | 0円(2023年までに建築確認を受けたものは2,000万円・10年) |
中古(買取再販でないもの)は、2022年から2025年の入居で、認定住宅・ZEH水準・省エネ基準適合住宅が3,000万円・10年、その他の住宅が2,000万円・10年です。ただし、いくら戻るかは「自分の税金」で決まるので、2026年からは下の表と同じように、基礎控除が上がった影響を受けます。
出どころ: 国税庁 タックスアンサー No.1211-1(令和4年度税制改正後の表)・No.1211-3[令和8年4月1日現在法令等]。
手続きと、気をつけること
- 最初の年は確定申告が要ります。2年目からは勤務先の年末調整で済みます。
- 住民税から引かれるのは、翌年6月からの住民税です。給与明細の住民税が減って、はじめて実感する人が多い控除です。
- ふるさと納税、医療費控除、iDeCo、生命保険料控除などで所得税が減ると、引ける額も減ります。自分の数字で確かめるときは、源泉徴収票の「源泉徴収税額」(復興特別所得税を含む)がおおよその所得税です。
- 大田区は税務署が3つあります。池上・大森・馬込などは大森税務署、田園調布・久が原・雪谷などは雪谷税務署、蒲田・六郷・羽田などは蒲田税務署です。
出どころ: 国税庁 タックスアンサー No.1211-3[令和8年4月1日現在法令等]、国税庁 東京国税局「東京都品川区・大田区」の管轄地域一覧。
ほかの年収の計算: 年収500万円/年収600万円/年収700万円。中古マンションの探し方は → 大田区で中古マンションを買う前に見る7つの点。制度が変わった流れは → 住宅ローン控除の変更。


