30秒でいうと

  • 「ペット可」かどうかは、広告の言葉ではなく、マンションごとの管理規約と使用細則で決まります。買う前には、重要事項説明書の「専有部分の用途その他の利用の制限」の欄を確かめてください。
  • 規約を作ったり変えたりするには、集会で区分所有者と議決権のそれぞれ4分の3以上の賛成が必要です。これは2026年4月1日施行の区分所有法31条1項にもとづく、改正後の決まりです。
  • 犬を迎えたときは、大田区への登録と、年に1回の狂犬病予防注射が必要です。手数料は新規の登録・鑑札交付が3,000円などです。

「ペット可」は規約で決まる

中古マンションの広告に「ペット可」と書かれていても、それだけで犬や猫を飼えるとは言えません。飼えるかどうかは、そのマンションの管理規約と使用細則で決まります。

国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)には、規約の見本と、そこに添えられたコメントがあります。このコメントでは、犬や猫などのペットの飼育を認めるか認めないかは、規約で定めるべき事項とされています。認める場合は、動物の種類と数を決めること、管理組合への届出や登録で飼育動物を把握すること、専有部分での飼育の方法、共用部分の使い方やふん尿の処理など飼い主が守ることを決めること、飼育によって困ったことが起きたときの責任、決まりを守らない人への対応を、あらかじめ定めておく必要があるとされています。

規約の見本には、禁止する場合の書き方と、認める場合の書き方の両方が示されています。認める場合の見本では、ペットを飼いたい区分所有者や住んでいる人は、使用細則とペット飼育に関する細則を守らなければならないとされ、他の住民から苦情が出て、改善の勧告に従わないときは、理事会が飼育の禁止を含む対応をとれるとされています。つまり「ペット可」のマンションでも、守るべき細かい決まりがあり、それを守らないと飼育を続けられないことがある、という仕組みです。

出どころ: 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」令和7年改正版(規約+コメント)、コメント第18条関係①〜③(コメント11〜12ページ・2026年10月3日確認)。

規約はどう決まり、どう変わるか

管理規約は、マンションの管理や使い方について、区分所有者どうしの決まりを定めるものです。区分所有法30条1項では、法律に書かれていること以外の管理・使用に関する事項を、規約で定めてよいとされています。同条3項では、規約を定めるときは、専有部分や共用部分、敷地の形や面積、位置関係、使われ方、区分所有者が払った対価などの事情を総合的に考えて、区分所有者どうしの利害が公平になるようにしなければならないとされています。

規約を新しく作ったり、変えたり、やめたりするには、集会での決議が必要です。2026年4月1日施行の区分所有法31条1項では、区分所有者の過半数(議決権の過半数)が出席した集会で、出席した区分所有者とその議決権のそれぞれ4分の3以上の賛成で決めるとされています。規約でこれより高い割合を定めることもできます。また、規約の設定・変更・廃止が、特定の区分所有者の権利に特別の影響を与えるときは、その人の承諾も必要です。

もう一つ覚えておきたいのが、区分所有法6条1項です。区分所有者は、建物の保存に害がある行為や、管理・使用に関して区分所有者どうしの共同の利益に反する行為をしてはならないとされています。この決まりは、賃貸で住んでいる人にも準用されます(同条3項)。これに違反した場合、またはそのおそれがある場合、他の区分所有者全員や管理組合法人は、その行為をやめさせたり、結果を取り除いたり、予防のために必要な対応を求めることができます(57条1項・2項・4項)。鳴き声やにおいなどで近隣に迷惑をかけるペットの飼い方は、この「共同の利益に反する行為」に当たるおそれがある、ということです。

なお、ここで紹介した区分所有法の条文は、2026年4月1日施行の改正後の決まりです。改正前の数え方は、ここでは確かめていないため触れません。

出どころ: e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」(昭和37年法律第69号)令和7年法律第47号による改正後・2026年4月1日施行の条文(法令ID 337AC0000000069・2026年10月3日確認)。

買う前に確かめる3つの書面

中古マンションを買うときは、契約の前に宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。この説明では、建物の売買の場合、専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(案を含みます)があるときは、その内容を説明することになっています。ペットの飼育についての規約の定めは、この「専有部分の用途その他の利用の制限」の欄で確かめることができます。

確かめる書面は、次の3つに分けて見ていくと分かりやすくなります。

  • 重要事項説明書の「専有部分の用途その他の利用の制限」の欄。規約でペットの飼育を認めているか、禁止しているかが書かれています。
  • 管理規約そのものと、使用細則。規約の本文だけでなく、使用細則にも細かい決まりが書かれていることがあります。
  • ペット飼育細則や、届出の有無。飼育を認めるマンションでは、別にペット飼育細則が作られ、管理組合への届出や登録が求められていることがあります。

これらは、仲介する宅地建物取引業者を通じて、管理組合や管理会社に確かめてください。「ペット可」とだけ聞いて安心せず、実際の規約と細則を自分の目で見ることが大切です。

出どころ: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」第16条の2(2026年4月1日施行の条文・2026年10月3日確認)。

東京都のモデル規程に見る「飼い主の守ること」

東京都は、集合住宅で動物を飼うときのルールづくりの骨格として、「集合住宅における動物飼養モデル規程」を作っています。これは、飼いたい住民、飼いたくない住民、管理組合などが「動物を飼うことができる」と合意していることを前提に、望ましい決まりをまとめたものです。

飼い主が守ることとされている事項

  • 動物は、自分の居室か、指定された場所で飼うこと。
  • 居室や指定された場所以外で、えさや水を与えたり、排せつをさせたりしないこと。
  • 異常な鳴き声や、ふん尿のにおいで、近隣に迷惑をかけないこと。
  • 清潔にし、健康に気をつけ、犬や猫にしつけをすること。繁殖を制限するよう努めること。
  • 動物が汚したり壊したり、人にけがをさせたりしたときの責任を負うこと。
  • 毛や羽の手入れや、ケージの掃除は、居室の外でしないこと。
  • 廊下やエレベーターでは、抱きかかえるか、ケージに入れて移動すること。エレベーターでは、同乗する人にも配慮すること。

飼える動物の種類や、一世帯あたりの数は、マンションごとに決めることになっています。また、飼う前には管理組合などの許可を受け、規程を守る誓約をすること、犬の場合は狂犬病予防法にもとづく登録と予防注射の証明を示すこと、飼わなくなったら届け出ることも定められています。許可を受けた飼い主には、管理組合などが標識を発行し、見やすい場所に掲示することとされています。なお、盲導犬・聴導犬・介助犬については、必要性に十分配慮し、種類の制限などを適用しないとされています。決まりを守らず、近隣に迷惑や危害を与え、飼い主どうしの話し合いでも解決しないときは、管理組合などが指導できるとされています。

出どころ: 東京都保健医療局「集合住宅における動物飼養モデル規程」(本文・解説・はしがき。平成6年7月 東京都衛生局作成・2026年10月3日確認)。

大田区の犬の手続き

マンションの規約を確かめたあとは、区の手続きも必要です。狂犬病予防法では、生後91日以上の犬の飼い主は、犬が住んでいる区市町村への登録と、鑑札の装着が義務づけられています。大田区では、飼い始めてから30日以内に手続きをすることになっています。年に1回の狂犬病予防注射も義務です。

マイクロチップを環境大臣が指定する登録機関に登録している犬については、大田区ではその登録が犬の登録として扱われ、マイクロチップが鑑札とみなされます。この場合、区へ重ねて登録する必要はありません。なお、令和4年6月1日以降にペットショップやブリーダーから買った犬は、すでに装着・登録がされていることが多く、飼い主の情報を変更する手続きが必要です。

手数料は、新規の登録・鑑札の交付が3,000円、鑑札の再交付が1,600円です。他の区市町村の鑑札を持って大田区へ引っ越したときは、無料で交換できます。狂犬病予防注射済票の再交付は340円です。その年度に前の住所地で交付された注射済票は、そのまま有効です。

窓口は、区内4か所の地域健康課です。大森地域庁舎(大森西一丁目12番1号)、調布地域庁舎(雪谷大塚町4番6号)、蒲田地域庁舎(蒲田本町二丁目1番1号)、糀谷・羽田地域庁舎(東糀谷一丁目21番15号)で、平日8時30分から17時まで受け付けています。大田区オンライン申請・届出サイトでも手続きができ、鑑札は後日配送されます。問い合わせ先は、大田区 生活衛生課 環境衛生(電話03-5764-0670)です。

出どころ: 大田区「新たな犬を迎え入れたとき」(2025年6月26日更新)、「引っ越しをしたとき」(2025年4月2日更新)、「犬に関する届出」(2025年4月2日更新)。

売る人が先にそろえるもの

犬や猫と暮らしてきた家を売るときは、ペットに関する規約や細則がどうなっているかを、先に自分で確かめておくと、後の手続きがスムーズになりやすいと考えられます。確かめておきたいのは、次のようなことです。

  • 管理規約と使用細則のうち、ペットの飼育に関係する条文。コピーをとっておくと、仲介する宅地建物取引業者への説明がしやすくなります。
  • ペット飼育細則がある場合は、その写しと、管理組合への届出や登録をした記録の控え。
  • 床や壁の傷、においなど、ペットを飼っていたことで生じた専有部分の状態が分かる写真。

これらは、買う人が重要事項説明や内見のときに知りたいと感じやすい情報です。何が必要かは、マンションごとの規約や、仲介する宅地建物取引業者の案内によって違うため、ここでは一般的な考え方として挙げています。実際に売るときは、管理組合や管理会社、仲介する宅地建物取引業者に、必要な書面を確かめてください。

あわせて読む